涌井金太郎商店
加茂市で120年続く老舗の和菓子店『涌井金太郎商店』さん。5代目当主が繋ぐ伝統の味と地域とのつながり。
JR加茂駅から続く加茂市商店街を進んでいくと、雁木のアーケード沿いに創業120年の老舗の和菓子店「涌井金太郎商店」があります。
老舗の持つ硬派なイメージとはかけ離れた、笹団子にまたがる金太郎がポップな印象の看板。
笹団子に加え、冬に販売する水ようかんが看板商品とのこと。さっそく5代目当主である涌井陽(ひろし)さんにお話を伺ってきました。
涌井さんは、明治中期から120年以上続く和菓子店の5代目として、この店で生まれ育ちました。幼いころから家業に慣れ親しんできたものの、はじめから5代目を引き継ぐ気にはなれず、実家を離れ全く別の仕事をしていたそうです。
そんな涌井さんでしたが、
「27歳の時に4代目の父が病で倒れて、それを機に5代目を引き継ぎました。ただ、和菓子の仕事は、父の代わりに祖父である3代目から教えてもらいました。それが18年前ですね。」
しかし、経営者としてはなかなか売り上げを伸ばせず悩ましい日々が続いていたそうです。
「売り上げが全く伸びない時期が8年ほど続きました。色々試してみても結果が出なかった。それでもいつかは実を結ぶと信じていたので、悩みましたが心は折れませんでした。そうしたらある日から急に取引先が増えたんです。」
それは8年かけて築いてきた地域の方々とのつながりでした。
商店街の会合や経営者が集まる会などに参加して人脈を広げることで、商品の良さが伝わっていき、取引先を紹介してもらえる機会に恵まれたそうです。
地域の方との縁があって、涌井さんが商品開発したどら焼きと商店街のお味噌屋さんとコラボした新商品も生まれました。
それが加茂市のオリジナル推奨品として人気を博している「みそくりどら焼き」です。
どら焼きの皮に味噌が練り込まれ、ほおばった瞬間にみその香ばしいかおりが広がります。白あんの中に栗が丸ごとはさんであって栗好きにはたまりません。
他にも、白あんにいちじくが練り込まれほのかな酸味も感じられる「いちじくどら焼き」をはじめ、バターや黒胡麻、お芋など豊富な種類のどら焼きを揃えています。
それぞれ通年商品となっているのでぜひお好みのものを試してみてください。
続いて、お店の看板商品である笹団子を紹介していきます。
こだわりは加茂市など県央地域特有の「ごんぼっ葉」を使用しているところ。
ごんぼっ葉とヨモギが練り合わさった笹団子は、歯ごたえはしっかりとありつつ、もちもちの食感を楽しめます。
また、乾燥させた笹ではなく生の笹で包まれた笹団子は色鮮やかで、香りが一段と引き立っています。
続いて、こちらも加茂オリジナル推奨品として認定されている看板商品「金太郎の水ようかん」。
北海道小豆を使ったようかん生地の中に金時豆が入っていて、素材の風味を生かすキレのある甘味が絶妙な美味しさです。
販売時期は11月頃から4月頃までとなっている冬季限定の商品です。
元々お店の看板商品だった水ようかんですが、昔は店先で羊かん舟に入れて販売していて、鍋やお皿を持ったお客さんに売っていたため、パッケージにはこだわってきませんでした。時代が進むにつれ、そういった風習がなくなるとともに、人気は落ち込んでいたそうです。
しかし涌井さんが5代目として、パッケージにもこだわり、味を現代風にアレンジしたことで周囲の注目を集め、見事V字回復させました。
「昔から慣れ親しんで頂いていたお客様には懐かしいと喜んでもらえました。また、水ようかんは夏場のものと思われていた方には、冬の新しい味覚として受け入れられたようです。保存料を加えない昔ながらの手作りなので、夏場は傷みやすいので冬に販売していたんです。でも、夏にも食べたいとのお声も多いので、通年販売できることを次の目標にしています。」
涌井さんの伝統を守りながら現代に合わせていく柔軟性とチャレンジ精神が、老舗の歴史を繋いでいきます。
最後に、気になるロゴマークと店名の由来を訪ねてみると、
「この絵は4代目の父が作ったんです。当時は和菓子屋らしくないと、理解されなかったみたいですが今の時代に合いますよね。金太郎は初代の名前で、代が変わるごとに改名して名前も受け継いできたのですが、私はまだその気になれなくて(笑)。」と涌井さん。でもいつかそうなる時が来るかもしれませんね。
新旧の歴史が交差する、加茂雁木通り商店街。
ぶらぶらと歩きながら、「涌井金太郎商店」さんへぜひお立ち寄りください。
笹団子にまたがる金太郎の看板が目印です。
スポット情報Spot Information
スポット名 |
涌井金太郎商店 |
---|---|
TEL・予約 |
0256-52-0237 |
住所 |
加茂市新町2-3-10 |
営業時間 |
8:00~18:00 |
定休日 |
毎月6日・16日・26日 |
リンク |
![]() |
この記事をシェアする
人気記事ランキング
- やまとやパーラー
- UNE HUIT CAFE(アン・ユイット・カフェ)
- YUMERICO(ユメリコ)(割烹やまよし)
- 小さなケーキ屋さん パティスリーMerrily
- 村の洋食屋 かりん亭
- 『ちいさなお菓子屋さんWAYOGASHIのABE』
- 菓子工房 いち華
- しょこら亭
- Taverna Trifoglio(タヴェルナ・トリフォッリオ)
- にいつ駄菓子の駅
- 八幡ラーメン
- パティスリー&レストラン MAMEFUKU(まめふく)
- 五泉名物とりかん
- 駄菓子や 昭和基地一丁目C57
- ゑびす屋(すにーかー倉庫×アウトレット)
- くれーぷaco
- 栗原製菓
- 和み中国料理 桃林
- bubu食堂コリアンレストラン
- お食事処 醍醐食堂(ダイゴショクドウ)
- 手打ちうどん どん兵衛
- フジイ菓子店(ケーキの店フジイ)
- たのしいスーパー エスマート
- パティスリー リヤン
- 北川製餡所
- あかりベーカリー
- お昼ごはん 時々 夜ごはん TAMARIBA(タマリバの台所)
- お菓子のきりん堂 Free Style Patisserie L.P.S
- 平山豆腐店
- FRUITS FOREST(フルーツフォレスト)
- GALVO(ガルボ)
- ラーメンしん
- 愛着珈琲出湯温泉喫茶室
- みやパン
- 中華食彩 なな福
- ルブラン中村
- フォー&バインミー ROU ANN PULAR(ローアンプラー)
- ハンドメイド雑貨と子ども服のお店「a söpö.(アソポ)」
- 紙ふうせん
- 中華そば さぶろう
- メンドコロ スガ井
- そば処 志のぶ
- ますや食堂
- BOB HOUSE(ボブハウス)
- ハウスメイド珈琲ファクトリー ROAST CAFE(ローストカフェ)
- 銘菓処 まつとく
- 中華そば・焼めし 勝鬨屋(かちどきや)
- 譲渡型保護猫Cafeあおねこ
- リトルアンデルセン
- いも奉行 ごせん
cocomo(ココモ)ってなに?
「あ、ここも行ってみたい。」思わずそうつぶやいてしまうようなスポット・情報を発信するWebマガジンです。