出湯

愛着珈琲出湯温泉喫茶室

長年使い込まれた家具だけがもつ落ち着いた雰囲気。心地よい音楽と共に極上のコーヒーを1杯。『愛着珈琲出湯温泉喫茶室』

阿賀野市の出湯温泉。国道290号線から入ってすぐのところに民家をリノベーションした味わい深い趣の喫茶店があります。店の名は『愛着珈琲出湯温泉喫茶室』。
何やらじわじわと好奇心が湧いてくるような店名ですが、いったいどんなお店なんでしょう。
さっそくおじゃましてみましょう。

出迎えてくださったのは店主の石川彰さん、紀子さんご夫妻。デニムのオーバーオールがよくお似合いの石川さんと、グレイのエプロンワンピースをシンプルに着こなす紀子さん。なんだかとっても素敵じゃないですか。あえて意図しなくてもおしゃれにキマッちゃう、そういう人っていますよね。まさにそんなお二人なんですが、どういう経緯でこの場所で喫茶店を始めるに至ったのか、そのヒストリーを石川さんに伺いました。

大学卒業後、当時花形の職業だったコピーライターとして働き始めた石川さん。同じ会社のデザイナー紀子さんと出会い、後に結婚。

その会社を約3年ほどで退職し、さらに別の会社で2年コピーライターとして活躍された後、28才で新潟市の古町にある喫茶店「カフェ砂場」の経営を受け継いで、3代目店主となるのです。フリーライターとして仕事を受けながら喫茶店のマスターとしての顔も持つことになり忙しさが増していく石川さん。やがて紀子さんも会社を退職し、「カフェ砂場」は昼間紀子さんが、夜は石川さんが担当することに。

15年間経営を続けた「カフェ砂場」の名物は、1杯ずつネルドリップで丁寧に淹れるコーヒー。
最近はさっぱり系の浅煎りコーヒーが人気ですが、石川さんの淹れるコーヒーは深い香りと苦み、そしてすっきりした後味が心地よい贅沢な風味が特長です。

当時のまま変わらないコーヒーを『愛着珈琲出湯温泉喫茶室』で味わうことができる(愛着珈琲/500円、おかわりは200円引き)ので、砂場時代からのお客様がわざわざ訪ねてくれることも多いのだとか。
認知症にかかったお客様が、愛着珈琲を飲んで「ここはカフェ砂場さんね」と言葉を発したという逸話もあるそうで、いかにファンの方々の記憶に残り愛されてきたかがうかがえます。

また、紀子さんの手作りスイーツももう一つの砂場名物。こちらも当時のままの美味しさを今も提供中です。

写真は外国人ゴスペルシンガーの方が「 This is real New York type !! 」(これぞホンモノのニューヨークタイプ!)と感激したというチーズケーキ(ドリンク代+300円)。どっしりとクリーミーな美味しさがコーヒーにぴったりです。
ほかにチョコレートケーキやスコーン、小倉パフェなども!

『愛着珈琲背出湯温泉喫茶室』では、お客様にはドリンク1杯は必ずオーダーしていただくスタイルで、その分スイーツ等は価格を抑えているとのこと。それにしてもお得すぎません?

さて、それでは「カフェ砂場」を閉店して出湯温泉に移ったのかと思いきや、そう単純ではないのが石川さんの経歴の面白いところ。

「カフェ砂場」の経営を続けながら、親族が経営する木工塗装の工場を手伝うことになり、寝る間もないほど多忙を極めていった石川さん。それでも学生時代から長期休暇などにその工場でアルバイトをしていた石川さんにとっては馴染みの深いものだったそうです。

その後、工場の経営状況にも変化があって手を引くことになりましたが、石川さんは古家具の塗装、修復を請け負う「愛着工房いしかわ」を開業し、「カフェ砂場」との二足の草鞋を履く生活を続けます。

タンスやテーブル、座卓、小物類まで幅広く手がける「愛着工房いしかわ」には、インターネットの普及もあって全国からオーダーが届くようになり、多くの家具が石川さんの手で生き返り、持ち主の元へと戻っていったのです。
安く購入して壊れたら捨てる生活スタイルが普及していますが、愛着のあるものを修理しながら大事に使い続ける、そういう暮らし方って魅力的ですよね。

その後、駐車場問題や親の介護といった事情が重なったタイミングで「カフェ砂場」の経営を終了。(お店自体はまた新しい店主さんが受け継いだそうです)

石川さんは、いろんな職業に就きながらも「いずれは自宅と工房と喫茶店を1カ所でやりたい」と考え続けていたそうで、出湯温泉にぴったりの場所を見つけて『愛着珈琲出湯温泉喫茶室』を開いたのが2018年12月。
普通の民家だった建物を、ところどころ大工さんの手を借りながら自らリノベーションし、店内には石川さんの手によって修復、塗装し直された家具類を並べました。
長年使い込まれた物だけがもつ落ち着いた雰囲気。取材の日は雨が降っていたのですが、そんなしっとりした日も心地よく、何時間でもいられそうな空間となっています。

テーブルの上に置かれたスケッチブックがメニューで、こちらは紀子さんの手描き作品。
あまりのかわいらしさに全ページめくって見てしまいました。さすがデザイナーさんですよね。
カフェ砂場さん時代には、ほかのお店からメニュー作成の依頼を受けたこともあるとのことですが、これは頼みたくなるよな~と納得しながら再度メニューを見返してしまいました。

平日のランチタイムには「懐かしのナポリタン」、土・日なら「喫茶店のライスカレー」を食べられますが、こちらもまた大人気メニューなので、早めのお出かけがオススメです。
余計な物を加えないシンプルさだからこそ味のごまかしが利かない、本当の美味しさをぜひ味わってみてはいかがでしょうか。

ご紹介した経歴のほか、サックス奏者としての顔ももつ石川さんのもとには、多くの音楽仲間が集い、年に何度かライブを開催されています。ここでライブ演奏が開かれるなんて、素敵な空間になること間違いなしですね。

その場合には営業時間等が変更となることもあるそうですが、SNS等にお知らせが掲載されますので、チェックしてみてください。

スポット情報Spot Information

スポット名

愛着珈琲出湯温泉喫茶室

TEL・予約

0250-62-8686

住所

阿賀野市出湯738

営業時間

8:00~17:00(L.O16:00)

定休日

水曜・木曜(祝日の場合は変則営業)

リンク

facebook

この記事をシェアする

他の記事を探す

cocomo(ココモ)ってなに?

「あ、ここも行ってみたい。」思わずそうつぶやいてしまうようなスポット・情報を発信するWebマガジンです。

【運営会社】
越後天然ガス株式会社が運営しています

【協力企業】
越後プロパン 白根ガス

モアモアショップ

Instagram

NIITSUテイクアウトどっとこむ