石碾き蕎麦 越水(こしみず)
自分が食べたいと思う蕎麦を作りたいから、その日の分を自家製粉。『石碾き蕎麦 越水(こしみず)』さんで美しい景色と一緒に頂く絶品の戸隠蕎麦を味わってみませんか。
加茂市にある『石碾き蕎麦 越水(こしみず)』さんは、長野県の戸隠で修行をした店主さんによる自家製粉の手打ち蕎麦が人気のお店です。
明るく清潔感いっぱいの店内は落ち着いた雰囲気。大きな窓からは加茂の田園風景の向こうにそびえ立つ粟ヶ岳をはじめとした雄大な山々を眺めることができます。晴れた日には遠く守門岳の頂きも姿を見せるとのこと。
抜群のロケーション、そして何より美味しいお蕎麦が評判で賑わっているこのお店、いったいどんなお蕎麦が食べられるんでしょうか。店主の田中隆之さんにお話を伺ってきました。
田中さんは加茂市出身。高校を卒業後、長野県戸隠市の蕎麦店で6年半、その後愛知県の蕎麦店でも1年弱修行を重ねた後、加茂市へ戻り『越水』をオープンしました。
蕎麦の道に進んだきっかけをお聞きすると、父が自分で蕎麦を打つくらい蕎麦が好きで、子どもの頃から蕎麦が身近なものだったという田中さん。でも、だからといって蕎麦屋になりたいと明確に考えていたわけではないそうです。
「ただ昔からもの作りは好きで、何かを作る仕事に就きたいとは思っていたんです。そんな中で自然と蕎麦もいいなと」
高校の進路指導の先生がいくつかリストアップしてくれた蕎麦店を実際に訪ね、その店の蕎麦を食べてみた上で、「蕎麦の美味しさが自分にフィットしたんです」と田中さんが進路に選んだのが戸隠。卒業後、田中さんは戸隠の蕎麦店に就職しました。
「蕎麦の修行というと、頑固な蕎麦職人の男性から厳しく教わるみたいなイメージがあると思いますけど、戸隠では蕎麦が生活に密着していて、家庭のお母さん、おばあさん達が普通に蕎麦を打つんですよ。自分に教えてくれたのもおばあさんでした。」
蕎麦の名所だけあって戸隠には全国から蕎麦修行に来ていたそうで、同期の仲間達も各地でそれぞれ蕎麦店を開いているとのこと。今でも連絡は取り合っているので、何かあれば相談できるという心強さがあると田中さんはおっしゃいます。
その店で6年半の間修行を続けた田中さんは、その後、愛知県の蕎麦店へ。その理由をお聞きしました。
「戸隠は蕎麦が名物の観光地だったため、違う環境のお店でも働いてみたかったんです。」
そのつもりで移った店では、玄蕎麦を碾いて作る自家製粉を使用していて、田中さんは自分で店を開くなら自家製粉でいこうと決意します。
蕎麦の実を仕入れてから蕎麦打ちをするまでには、収穫時に混ざった小石等を取り除く「石抜き」、「磨き」、殻を割って中身を出す「脱皮」、そして石臼で碾くという工程があり、その作業のやり方、程度によって蕎麦の色味や風味が変わるのだそうです。
しかも蕎麦粉は、時間が経つと風味や香りが失われていきますが、自家製粉なら、碾いた直後の新鮮な蕎麦粉を使うことができるため、より豊かな香りや風味が楽しめます。
「自分が食べたいものを作りたいと思うと、自分でやるしかないんですよね」と話す田中さんは、毎日開店前にこの作業を行い、その日の分の粉を準備しています。
季節や気温、湿度、水温などで加減は変わるのでデータが役に立つわけでなく、すべては経験によって判断するしかない、まさに職人技といえる工程です。
ですが「職人」という言葉に田中さんは首を横に振ります。
「美味しい蕎麦ができるのは、生産者さんのおかげです。僕自身は、ただ蕎麦を作れる人に過ぎないと思っています」という言葉から、田中さんの謙虚な人柄が伺えました。
「ぼっちそば」(850円/税込) 「生桜エビのかき揚げ」(季節メニュー 800円/税込)
地元に帰郷、開業するにあたり、メニュー名は「ちょっとした会話のネタにできるもの」をと考え、「ぼっちそば」「まかない」「守門の残雪」など目に留まるネーミングにしました。
ちなみに「ぼっちそば」というのは、戸隠独自の蕎麦の盛り方。戸隠では山の頂を「ぼっち」と呼ぶそうで、蕎麦を奉納する5社の神社にちなみ、蕎麦を5つの山に盛り付けるのだそうです。その地方ならではの風習、面白いですね。
また、「まかない」はどんぶりに盛り付けた蕎麦の上に大根おろし、ネギ、ワカメ、温泉卵、海老天を並べた代表的なまかない食をメニューに載せました。つゆをかけて食べるぶっかけスタイルです。どんぶりを抱えてかき込んで食べる、そんな気取らないメニューを提供したいという田中さんならではの一品です。蕎麦の香りと喉越しの良さが味わえるとともに、様々な食材との相性が抜群で、ボリュームもたっぷり。
「まかない」(1,250円/税込)
季節によっては、山菜蕎麦や静岡から取り寄せた生桜エビのかき揚げなど、様々なメニューも楽しめます。生桜エビのかき揚げは、サクッとした口当たりと香ばしい香りはもちろん、生の桜エビを使っているからこそ味わえるプリプリとした食感が感動ものでした!
自分が求める理想の蕎麦を頭に描き、常に安定して同じものを作り続けることが目標だという田中さんの打つ自家製粉石碾き蕎麦。
窓の外に広がる雄大な景色と一緒にぜひひととき、楽しんでみてはいかがでしょうか。
スポット情報Spot Information
スポット名 |
石碾き蕎麦 越水(こしみず) |
---|---|
TEL・予約 |
0256-53-7028 |
住所 |
加茂市大字加茂新田字作場10020-2 |
営業時間 |
11:00~14:00、17:00~20:00 |
定休日 |
火曜 |
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