糀屋団四郎
『糀屋団四郎』が守り続ける、ほんものの「味噌づくり」。
家族で繋いだ日本古来の発酵食を、4代目が世界に。
「お味噌」は日本の発酵文化を代表する食材のひとつで、和食には欠かせない調味料です。味噌が製品になるまで約1年の歳月がかかりますが、効率化が優先される現代では伝統の作り方が失われつつあります。そんな中で昔ながらの製法を守り続ける醸造蔵が新潟市南区にあります。「糀屋団四郎(こうじやだんしろう)」さんです。
2020年より4代目を受け継いだ藤井寛さん・康代さんご夫婦に、4代目への想いや味噌づくりのこだわりについてお話を伺いました。
「糀屋団四郎」は、1932年に藤井家の6代目が味噌屋を創業、以来、家族経営を大切にしてきた味噌蔵です。康代さんは4代目を継ぐ修行のために、東京農大で醸造を学んでいた頃、ご主人の寛さんと知り合いました。
「三代目の私の母が東京農業大学の社会人コースで醸造の技術を学んだことが縁で、農大生の研修を受け入れるようになりました。 そのころ寛さんも農大生で、2週間程実習でここに来ていたことがありました。」と康代さんは話します。
そのころはお互い顔見知り程度の関係で、お互いが老舗の味噌蔵の跡取りとして別々の人生を歩んでいました。ところが、寛さんが実家を継いだ3年後の2011年3月11日、陸前高田市の中心部を流れる気仙川河口そばにあった味噌蔵は、東日本大震災の影響で廃業を余儀なくされたのです。その後の復興計画では、政策上、以前の広さの敷地は使えないということになり味噌づくりを断念し一般企業で働いていました。
そんな時、三代目である康代さんのお母さんが突然連絡をくれたそうです。
「よかったら一緒に味噌づくりをしてもらえないかというお誘いでした。ありがたく受け入れることにして、団四郎の味噌づくりに参加させてもらいました。私と康代さんが持っている知識で新しいことができ、やっぱり醸造の仕事が好きなことを再認識したので、団四郎に婿入りして4代目になりました。」と寛さんは話します。
こうして、4代目となった藤井寛さん・康代さんご夫婦と、康代さんの姉の統子さんの3人が力を合わせて、『糀屋団四郎』を次世代につないでいます。
こちらの味噌づくりのこだわりは、創業時に購入したという大きな和釜で大豆を煮る「留釜(とめがま)製法」。
「留釜製法」は、大豆を3時間ほど煮込んだ後、そのまま一昼夜置いておきます。そうすることで、旨味とペクチンという凝固成分も無駄なく大豆に戻るので、団四郎味噌独特の柔らかくてお湯に溶けやすい味噌が出来上がるのです。 時間と手間がかかるため量産には向かない製法ですが、小さな味噌蔵だからこそ出来る手間暇をかけたおいしい味噌づくり。
そしてもう一つのこだわりは材料です。味噌の原料となる大豆は、国産大豆の中でも最高級品質 のものを使用。糀も全て手作りしていて、お米は団四郎の蔵の前に広がる田んぼで収穫されるコシヒカリと、糀づくりに適していると言われるコシイブキを使用しています。
それら最高の原料を美味しい味噌に完成させるためには、何より3人のチームワークが大切。お互いが気持ちよく作業が出来るように、お互いを気遣い合い、支え合いながら、阿吽の呼吸で丁寧な味噌づくりを行っています。
毎年12月の仕込み時期は、東京農大の学生を受け入れ、早朝4時から夜の8時頃まで作業が続く忙しさ。豆を洗うことも、糀を作るところも全て手作業です。目の回るような忙しさですが、学生たちから受ける刺激が新鮮で大変な作業も楽しくやれるそうです。
沢山の手と時間をかけながら発酵熟成してできる団四郎の味噌。昔ながらの味噌づくりに忠実でいるかたわら、味噌を使ったオリジナルの商品の開発や、サイトでは商品を使ったレシピも掲載して時代に合わせた提案もしています。
それでは、『糀屋団四郎』の定番商品から紹介します。
看板商品の「金印味噌」には高品質な北海道大豆トヨマサリ、新潟県産米、天日塩を使用し、1〜1年半熟成させた味噌。
糀を多く使っているためまろやかな風味です。
「銀印味噌」には新潟県産大豆エンレイ、新潟県産米、並塩を使用し、さっぱりとした風味が特徴です。
金印味噌、銀印味噌どちらも加熱殺菌や酒精の添加を行わないため、酵母や乳酸菌が生きているのが特徴です。
金印味噌と銀印味噌を混ぜて二十年寝かせた「二十年味噌」(100g1,944円税込)は独特の芳醇な香りと味が特徴です。
この二十年味噌に国産のレンコン・ごぼう・人参・生姜・白ゴマを細かく刻んで8時間じっくり炒り続けた「鉄火味噌」(50g1,080円税込)もあります。
「レモン味噌ディップ」(100g842円税込)は、世界で最も良質なオリーブオイルといわれる、イタリア・トスカーナ産の一番搾りを使用し、フルーティな味わいがお野菜、パスタ、トーストともよく合います。
他にも、大根、キュウリのみそ漬けをみじん切りにしたものに、しその実のみそづけ、生の生姜・人参を合わせ、本みりんと味噌だまりで味を調えた「味噌漬ふりかけ」(100g864円税込)はご飯のお供にぴったりです。
これらの商品は、康代さんが商品開発とパッケージを手がけたものだそうです。
『糀屋団四郎』では、誰でも体験できる「味噌づくりイベント」を30年前から続けていたり、地元の小学校では、食育授業の一環で味噌づくりを教えたりして、伝統の味噌づくりを伝える活動をしています。最近では「味噌づくりセット」(5kg 3,888円税込)の注文が増えてきていて、活動の成果が垣間見えるようで嬉しいとのこと。
また4代目には、創業100年を目前にして新たに挑戦したいことがあります。
寛さん「海外に味噌を輸出していきたいと考えています。現在の生味噌だと要冷蔵になってしまうので、輸出しにくいんです。団四郎味噌のいいところを残したまま、海外に持っていく方法がないか研究しているところです。」
代々受け継いだ伝統の味噌づくりはしっかり守り、変革すべきところは旺盛にチャレンジする4代目夫婦と統子さん。イベントにも積極的に出展していて、味噌を使ったフードメニューは売切れになるほど人気です。ぜひインスタでチェックしてください。
スポット情報Spot Information
スポット名 |
糀屋団四郎 |
---|---|
TEL・予約 |
025-374-2611 |
住所 |
新潟市南区新飯田1607 |
営業時間 |
8:30~17:00 |
定休日 |
土曜午後、日曜・祝日 |
リンク |
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